遠州殿(小堀遠州・政一)が、伏見で口切り(茶壺を開封する儀式)をされた時、
古田織部殿が、翌朝お出でになるという前日、
相伴の桑山伊賀守殿(元晴)、天野屋覚甫、服部道巴の3人が、
前礼のため六地蔵の遠州殿の茶室へ参られた。
そこには、明日使う釜が仕掛けて有ったのだが、彼等はその仕掛けようが気に入らず、
「釜を据えなおされよ。これでは織部殿が気に入るはずがない。」
と言われた。
しかし遠州殿は、
「先ずこのままお見せした後、悪ければ直しましょう。」
と答えた。
翌朝、織部殿はこの3人を相伴として座敷に入られた。
この時、伊賀守殿が、
「釜の掛けようは、これで良いのでしょうか?」
とお尋ねになった所、織部殿は、
「この釜は、このようにしか据えようが無いだろう。」
と答えられた。
先の3人の予想と違ったため、それ以降、遠州殿は一目置かれるように成った。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!