慶長年間の事。
京の綾小路で、ある家の女房が、屋根の吹き替えをしていたところ、
足を滑らせて下に落ち、運の悪いことに、ちょうどその落下地点に、
隣の家の女房がおり、下敷きになった隣の家の女房は、
首の骨を折って死んでしまった。
これに怒った、死んだ女房の夫は、
「うちの妻を殺すために、わざと屋根から落ちたのだ!」
と言いたて、
京都所司代・板倉伊賀守に訴えた。
訴訟を聞いた板倉は、
「よしわかった。
では、隣の家の女房をお前の妻がいた場所に置き、
お主は同じように屋根から落ち、
憎い女を殺すがよい。」
男は、
「そんな事をしたら、自分が下手をすれば死んでしまう。」
と、訴訟を引っ込めた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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