天正4年、信長は、丹羽長秀に安土城の普請を命じ、
諸国の領主は夜に日を継ぎ、急いで築城に使う石を集めていた。
そんな中、脇坂安治は秀吉の使者として、書状を持たせた供の者と、
普請現場に差し掛かった。
ところが、そこでは丹羽長秀の郎党が、
秀吉が運んできた大石を大勢の人足に運ばせ、
持ち去ろうとしていたのである。
それを見た安治、
「その石をどこに持っていく気だ!」
と押しとどめ、刀で石を曳く縄を切り、運べないようにしてしまった。
すると、邪魔された丹羽家の奉行の郎党人足がわらわらと打ちかかってきた!
しかし安治は逆に人足どもを追い散らし、奉行を捕まえて人質にしてしまった。
これを聞いた秀吉は、
「このようななめでたい普請のときに、騒動を起こすとはけしからん!
安治を折檻してくれるわ!」
と怒ったが、
そこに戻ってきた丹羽長秀が、
秀吉の家を訪ねて、安治の忠節を褒め讃えた。
秀吉は、安治を許し、
忠節により、その年知行百五十石を領したのであった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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