直孝の嫡子☆ | げむおた街道をゆく

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井伊直孝の嫡子の靱負佐直滋が、若年の時、父・直孝が言ったのは、

「其の方に附人を申し付けようと思うのだ。家士の中から選びなさい。」

ということだった。
 

嫡子直滋は答えて、

「私は嫡子ですから御跡を継ぐ身です。

そうであるのに、いま家士の中の誰彼と選んだので、

私が当主になった時に、いま選んで残した者どもが、

『自分たちは当主の気に入っていない身だ。』

と思ったならば、自然と勤方も怠ることでしょう。
 

家士は主将の四肢です。

四肢が怠る時には身は立ちませんので、私は選ぶつもりはありません。
父の御目鏡をもって、誰でも御附けになってください。」

と、言った。

直孝を初め、これを聞く者に感心しない者はいなかった。

ところが、直滋はどのような理由なのか、
その後に遁世なさった。

 

「彦根一家中で惜しまない者はいなかった。」

と、家中の老人は、嘆息しつつお話しになった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 井伊の赤牛、井伊直孝

 

 

 

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