幕臣・永井尚政は、要職につくことになった。
そこで彼は、是非、助言してもらおうと井伊直孝をたずねた。
尚政、
「というわけで、いろいろ教えて下さい。」
直孝、
「よい心掛けですな。よろしい私の経験からいくつかお話しましょう。
しかしこれはみだりに話すことは出来ないので、
精進した上で、後日私の家に来て下さい。」
後日、尚政は麻上下の盛装で直孝をたずねた。
直孝も同じ格好で、現れて尚政に会い、助言した。
直孝、
「貴殿は『油断大敵』という言葉をご存知か。」
尚政、
「もちろん知っております。」
直孝、
「ではこの言葉を忘れないように。」
直孝が、助言したのはこれだけで、あとは酒を振る舞い、
厚くもてなして帰したのだった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!