家光公の御時、韃靼(清)が、
中華を滅ぼしたため、大明の大将(鄭成功)から日本へ援兵を乞うてきた。
十万の軍勢を出そうと計画したところに井伊掃部頭(井伊直孝)が述べていうことには、
「昔、太閤が朝鮮を攻め、大明の援兵と戦った時にすこぶる勝利したのは、
日本の兵は久しく乱世であったため戦になれており、
一方、大明の方は久しく太平であったため戦になれていなかったためです。
今、日本の兵は久しく太平で戦を知らず、韃靼の兵は大明を討って戦になれております。
若兵を遣わしたところで勝利は得られないでしょう。
日本の兵がもし敗れたなら、末世まで侮りを受けることとなりましょう。」
と申したため、援兵派遣は沙汰止みになった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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