井伊家の一本槍☆ | げむおた街道をゆく

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台徳公(徳川秀忠)御上洛の時、彦根城を御旅館になさるとの由を御沙汰につき、
井伊直孝は将軍家を敬うあまり、家中の妻子家族を皆近郷へ立ち退かせた。

この事を台徳公は御聞きになり、彦根城へ御立ち寄りもなく、

直に大津へと御出になったので直孝は大いに驚き、

そのまま彦根に閉門して御沙汰を待った。

その後、台徳公は、

「旅館になる城は屋敷内へ小屋を建てて、

そこへ家中の妻子を入れるのが然るべきというのに、

直孝はいかなる所存で家中の妻子を近郷へ立ち退かせたのか。

実に不審である。」

と、仰せになった。

それから御下向なさるという時、直孝は、

「このまま京都に閉門して、慎んだほうが良いだろうか?」

と、酒井忠勝へ内々に問うた。

忠勝は答えて、

「そのまま彦根にいても然るべきではない。

供を少し連れて槍一本を持たせ、

密かに御後から下り申されるべきでしょう。」

と、言った。

直孝はその通りにして慎んで下った。

台徳公は三島を御通行の折に仰せになって、
「直孝は下ったか?」

と御尋ねになった。

 

忠勝は答えて、
「供に3人を召し連れて慎んで御後に付き、供奉仕っております。」

と申し上げたので、
台徳公はやがて直孝を召し出され、御言葉を御掛けなさったということである。

“井伊家の一本槍”は、この時より家例となったのだとか。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 井伊の赤牛、井伊直孝

 

 

 

ごきげんよう!