赤備えの心構え☆ | げむおた街道をゆく

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大坂冬の陣の後、出入りの医師があいさつを兼ねて、

井伊家の新当主・直孝の往診に訪れた。

直孝の居間に医師が入ると、床が畳一枚どころか竹のスノコで出来ており、

すきま風が入りまくっていた。

「これでは不養生に過ぎます。

大身の方々は床板を二重にして、その間にワラや干し飯を敷き詰めて、

乾湿を防ぎ、また倉庫として活用しておりますよ。」
と医師が進言すると、

 

直孝は、
「わが井伊家は、事あれば先陣を勤める家柄だ。

戦は風邪の治るのを待ってはくれぬ。
もしこれしきの寒さで死ぬようならば、

もっと頑健な者が代わって当主になった方が、

将軍家の御為になる。」

と聞かなかった。

医師は帰り際に庭を見たが、広い庭は何の植木もなく、

ただ雑草が生い茂るばかりだった。

数寄のかけらもない庭にわずかに平らな石を一畳ほど敷き詰めてあったが、

それも直孝が、行水をする際に泥はねを防ぐためのものだと言う。

医師は驚きを通り越し、呆れて帰った。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 井伊の赤牛、井伊直孝

 

 

 

ごきげんよう!