井伊直孝は、兵部少輔・直政の次男であり、
母は、松平周防守家来の者の娘であった。
直政は、直孝を、百姓の庄屋・内蔵助と云う者の所へ、預け置いた。
直孝12歳の時、この百姓の家に盗人が入ったと騒ぎになった。
直孝が裏に出て、闇夜を透かして見ると、
後ろにある山に盗人が這い上がっているのを見つけ、直孝はそれを追いかけて上がり、
高股を切りつけた。
切られた盗人が振り返ると、
「盗人を仕留めたり! 出会え者共!」
と大声で呼んだ。
このため大勢が駆けつけ、ついに盗人を仕留めた。
この事は、幼若の身として無類の剛才であると、父・直政に報告された。
直政は、その年、直孝を自身のもとに呼び寄せた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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