信長の屍☆ | げむおた街道をゆく

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明智左馬助秀満は、本能寺の焼跡から信長の屍を捜索していた。
 

すると並河金右衛門が、自ら討ち取った信長の首と白綾衣袖を持ってやってきた。
秀満は、すぐにこれを人目に触れないよう隠させた。
 

金右衛門は、

「左馬助殿は、それがしの功を隠されようとなさるのか!」

と怒った。
 

秀満は、金右衛門を諭して言った。
「前右府殿(信長)は、かつて甲斐征伐において勝頼公の首を罵詈されたが、

今になって人々はこれを誹誇している。
もし今、殿に前右府殿の首を御見せすれば恨み骨髄に達しているゆえ、

必ず陵辱されるであろう。
そうなると殿の汚名が末代まで残ってしまう事は必定だ。

天命とは実に畏るべきものである。
そなたの功はわしが後日必ず証を立ててやるゆえ、

今は黙ってわしの言う事を聞いてもらいたい。」
そして、涙を流しながら頼み込んだ。
 

金右衛門も、その志に感じて秀満に托す事を了承し、

秀満は僧西誉に命じて信長の遺骸を葬らせた。

光秀は、信長の屍がなかなか見つからないので、

斎藤(内蔵助)利三を遣わして、秀満にこう伝言をさせた。
「その方は先陣となっておるのに、

未だ前右府殿の生死の明証を得ていないとはどういう事だ!
もし生き延びて逃げられていたならば、既に我等は為す術が無くなってしまう。」
 

これを聞いて秀満は、真実を利三に告げた。
利三も感じ入って、焼け焦げた白綾の衣を取って、信長の死の証としたのである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 湖水渡り、明智秀満

 

 

 

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