清州会議の後、羽柴秀吉と柴田勝家の対立が深まる中、
勝家の家臣・毛受荘助(勝照)が請い受けて、
秀吉への遣いとして向かった。
これは、秀吉のこれまでの動向は心得がたいものであり、
対面すれば押して刺し違えんと考えたのである。
こうして毛受が到着すると、秀吉は察した。
「あの毛受は心早く勝れた勇士である。
今度の使節としての来訪も、何らかの心持ちがあるのだろう。」
彼は毛受を招き入れ、毛受が出て来るや、脇差も差さず色代まで不意に現れ、
「遠方よりのこの度の使節、浅からぬ思いであるぞ。」
そう言って毛受の手を取り、限りなく懇ろに連れ立って奥の席に招き、先ず勝家の安否、
そして今の互いの考えなどを語り、それから料理を出して饗した。
毛受は秀吉と刺し違えることを決心していたのだが、
不意に傍に引き添えられ、様々な懇情を受けたため、
先ずはそれへの謝礼に及んだ。
そしてその後、再び秀吉が近づいてくる事を待っていたのだが、
以降秀吉が近づくことは全く無く、
毛受は本意を失って帰っていったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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