関白秀次の供をして、大島雲八が、伏見から大阪へと向かう時、
6月のことであったので、生きた鷺(さぎ)を籠に入れて持たせていた。
案の定、秀次が船の中で、雲八に、「鷺を射て参れ。」と命じた。
もし射外せば如何かと思ったものの、持ってきた鷺があったので、心やすく射たという。
たとえ射外しても、これを、「射たものです。」と差し出せば良い、
ということであろう。
この大島雲八は、名誉の射芸との名を得ており、
それゆえにこのような嗜みがあったそうだ。
ただし、心得が悪しければ、主人を偽るものとなるのだから、
こういうことは、よくよく心得を持った上で、
行うべきであろう。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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