誰であるか、思い出せ☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

主君の御前において、傍輩を取りなすことは、

品々あるべきである。


大和大納言(豊臣秀長)殿の御咄の法師が、出頭した時、大納言殿が、

「今朝は、どうして遅れてきたのか。」
と仰られた。

 

「御普請場の見物に参っておりました。」

と申し上げると、
「法師の身にては相応しくない見所である。

ところで堀石垣はどれほど出来ているか、奉行の侍どもは、
精を出して仕事をしているか。」

と、お尋ねになった。
 

「何れも、殊の外精を出されており、御普請は順調に進んでいるように見えました。」

と申し上げると、

「さもあらん。誰にも怠りなど無い。

されど、その中でも殊に精を出していると見える者は無いか?
ありのままに申せ。」
そう仰せに成られた。

 

これに、

「仰せのごとく。誰も怠り無く見えましたが、中でも抜きん出て諸人に下知し、

現場を飛び回り、骨を折っているように見える者が居りました。

その人物について、何者かを尋ねたのですが、

つい今しがた、その名も名字もはたと忘れてしまいました。」

「誰であるか、思い出せ。」

と仰せに成られると、その時、法師はうち案じて、
「名字は魚の名であったはずなのですが、忘れました。」
「鈴木か、益田か、魚住か。」

と仰せになったが、

「いや、それではありませんでした。」

「さては鯰江か。」

と仰せになった時、「その鯰江にて候!」と申し上げると、殊の外、御気色良く、
「総じて、あの鯰江勘右衛門は、慥かに用を成す人物である。」

と評判も上がり、その後、御加増を給わったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 兄の偉業達成に貢献、豊臣秀長

 

 

 

ごきげんよう!