1577年、北陸地方の平定を任されていた柴田勝家のもとに、
援軍として派遣された羽柴秀吉は、
勝家と意見を対立させた末に無断で戦線を離脱した。
この事に激怒した織田信長から秀吉は謹慎を命ぜられてしまう。
この時、秀吉の弟の秀長も謝罪と釈明の為に安土城を訪れた兄に同行し、
控えの間で待機していたのだが、共に来ていた浅野長政は、
「秀吉は、切腹させられるのではあるまいか・・・。」
と気が気でなく、蜂須賀正勝に至っては、
「もはや生きて城を出られぬかも知れぬ。だが、わしは無抵抗で死ぬつもりはない。」
と短刀を握りしめる始末で、室内の緊張感は高まっていた。
すると、兄の窮地であるにもかかわらず、
冷静さを保っていた秀長は、
おもむろに扇を開き、庭に咲く菊の香りを室内に届けるかの様に、
無言で仰いだのである。
続いて竹中半兵衛が、
「控えめに咲くあの菊の様に、我々も驕らずにいれば誠意は通じるでしょう。」
と静かに語ったため周囲も落ち着きを取り戻し、
やがて秀吉が許されたこと知った一同は、手を取り合って喜んだという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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