1566年ごろ、織田信長に仕える木下藤吉郎秀吉が、
斉藤家との戦いの拠点として敵地である美濃国墨俣に、
砦を築くように命じられた。
異母弟の秀長を従え、木曽川の水運を取り仕切る蜂須賀党(川並衆)の首領であった、
蜂須賀正勝の元に赴いて協力を求めた秀吉は、
旧知の間柄であった正勝を得意の弁舌で説得したが、
色よい返事は得られなかった。
場に重苦しい空気が流れる中、それまで無言だった秀長は、
「この戦いは兄の出世ばかりではなく、戦乱の世を治める足掛かりになります。
大した名声も持たぬ我らは、
この度の戦に全てを賭ける覚悟です。
ぜひ協力願いたい。」
と発言。
その誠実な人柄を感じさせる切々とした語り口は、
秀吉の能弁振りよりも強く正勝の心を動かし、
正勝の協力を得た兄弟は、
砦を完成させて、信長の美濃平定に貢献したという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!