小田原の役で、堀尾吉晴が山中城を攻めた時のこと。
吉晴は好条件な場所を陣地にしていた。
ところで中村一氏も参戦していたのだが、
一氏は吉晴の場所を見て、
「あそこは、いい場所だ。」
と思っていた。
そこで、一氏は。
「秀次様。あそこを俺の陣地にしたいんですけど。」
「ん? いいんじゃない。」
なんと秀次に頼んで、吉晴の場所を横取りした。
かくして一氏は、一番乗りの武功を立てたのであった。
堀尾吉晴といえば温和な性格で知られ、仏の茂助と呼ばれた男だ。
しかし、さすがの彼も怒った。
吉晴は、秀次の前だというのに、一氏と差し違えようとした。
その勢いは、秀次の家臣が懸命に引き止めるほどの怒りようだったとか。
おとなしい人を、怒らせてはいけないぞ、というお話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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