各務兵庫助元正は、森家の家老にふさわしく、武勇の人として知られた。
天正10年(1582)3月、高遠城攻めの時のこと。
斥候に出た元正は、塀の狭間から城内をうかがった。
隊ごとに分かれて、評定の真っ最中だった。
(よし、今のうちに攻めかかろう。戻って殿にお知らせせねば・・・。)
元正は狭間から頭を引っ込めようとしたが、
「む!」
背中の鳥の尾の指物が引っかかり、城の内側に転げ落ちてしまった。
元正、
「しまった!」
城兵、
「!」
当然、敵が殺到してきた。
「こうなりゃヤケだ!」
元正は、斬って斬って斬りまくった。
織田信忠、
「あれは、誰だ。」
森長可、
「と、当家の士、各務兵庫と申す者!」
残念ながら、鬼武蔵がどんな顔をして信忠に答えたか、伝えられていない。
ともかく、この時の武功で、元正は、『鬼兵庫』と呼ばれるようになった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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→ 鬼兵庫、各務元正
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