美作国(現在の岡山県北部)にある奥津温泉。
美作三湯にも数えられるこの名泉にある時、
森忠政が湯治にやってきた。
やはり評判どおりの名泉で入浴した忠政もご満悦であったが、
あまりにもいい湯だった為に悲劇が起こる。
忠政、
「気に入ったので、この温泉はこれより俺専用の湯治場となった。
以後、俺以外の入浴を固く禁ずる。」
気に入られ過ぎたが為に、忠政以外の入浴が一切禁止されてしまったのである。
しかもわざわざ鍵が掛けられ、森家から「温泉番」なる役人が派遣されて、
睨みを利かせるという念の入れようであった。
たまったものでは無いのは、突然締め出しを食らった地元の領民である。
恨みを持った領民は皮肉をこめてこう呼ぶようになった・・・。
鍵のかかった開かずの湯、『鍵湯』と。
ちなみにこの奥津温泉。
今でも沸いているが鍵は無くなり、誰でも入れるようになっている。
しかしながら鍵湯の呼び名は健在である。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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