徳川の家がある限り☆ | げむおた街道をゆく

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慶長三年の冬、石田三成が、家康を暗殺しようとしているという噂があり、
その警戒のために、伏見向嶋の家康の屋敷に、諸大名が毎日出入りしていた。
 

森忠政は細川忠興と示し合わせ、

御供には具足と食物を挟箱に入れて持ってくるように言って、
家康邸に三日三晩、一緒に詰めて、自分の屋敷には帰らなかった。

夜中に家康公は、

井伊直政に手燭を持たせ、忠政と忠興を書院に呼び出して、お出ましになると、
「両人の懇志は言葉に言い尽くせないほどです。

大坂方には、詮なきことを企んでいる者がいること聞き及んでいますが、

もし万一そのような者が、本当にいたときは、
大坂方面に信頼できる者を配置しているので、

大坂勢が出陣することがあれば、すぐに注進があるでしょう。」

「そうなれば、この屋敷にいても守るのは難しいので、

大仏へ閉じこもり防戦をする覚悟です。
両人の衆もそのときは、大仏で戦ってもらうことになるので、

自分の屋敷へ帰って一報を待って下さい。
必ず使者が参ります。

他の諸大名に、このことは伝えませんでしたが、
両人の深切は他と異なるので、内々に申し合わせておこうと思いました。」

そうして家康公は、忠政・忠興の御手を一度にお握りになると、
「徳川の家がある限り、末々まで今回の心遣いを忘れません。」

と仰せられたと言う。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 美作津山藩初代、森忠政

 

 

 

ごきげんよう!