高野聖の処刑にて☆ | げむおた街道をゆく

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荒木村重の織田信長への謀反が起こる。
 

その謀反に味方したものの中に高野聖があり、それが高野山に逃げ込んだ。
信長は、その者たちを差し出せと使者を送ったが、高野山では僧徒が、

この使者の態度に怒り、これを殺してしまった。
 

この事態に信長は激怒。

『諸国の高野聖を捕えて殺せ!』

との命令を発した。

そこで伊勢でも数百人の高野聖やその関係者が捕らえられ、

松ヶ島で処刑される事となった。
この処刑を、織田信雄・信孝兄弟が検分した。

処刑は次々と行われ、最後に15歳くらいの少年が引き出された。
 

この少年が顔を上げる。…と、

「まて! その処刑、待て!」

織田信雄が、突然これを止めた。

少年はその容貌、非常に美しく、信雄は彼を見初めてしまったのだ。

「この者は、私の名において助命いたす!」

信雄はそう宣言し、少年の身柄を引き取った。

この様子を見ていた織田信孝は、白子杢右衛門尉というものを呼び出すと、

いきなり呟いた。

「尻ゆえにこそ命たすかれ」

これに白子はすぐさま、

「蜘蛛(ささがに)の 糸あはれにも引き出して」

と、上の句を付けたという。

信雄への強い皮肉である。
信雄はこの少年に「道也」と名をつけ寵愛し、

彼は信雄のもとで大いに「出頭」したという。

この軍記を書いた作者は、当時の世相を、この様に書いている。
『今、諸家では男色に溺れ、佞者を愛し、

そういう者に大きな知行を与えて国を乱すものが多数いる。』

傾国の美女ならぬ、傾国の美少年が数多いた時代の記録である。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 能の名手、織田信雄

 

 

 

ごきげんよう!