ある日のことである。
街道の整備を行っていた大久保長安は、将軍・秀忠の御前に罷り出でると、
「街道の一里塚に植える木のことですが、植える木を松にしてしまうと、
道端の杉並木と紛らわしくなってしまいます。如何いたしましょうや?」
と申し上げた。
秀忠は、
「確かに松ではどうかと思われる。余の木(他の木)を植えよ。」
と命じた。
長安は、
「然らばそのようにいたしましょう。」
と御前を下がると、
直ちに一里塚に榎の木を植えさせた。
長安は当時60歳、年を食って少し耳が遠くなっていたので、
秀忠が言った余の木(ヨノキ)と、榎(エノキ)を、
聞き間違えてしまったのである。
これが起りとなり、街道の一里塚には榎を植えるようになったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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