寛永11年(1634年)7月、さすがの尹松も、
寄る年波に勝てず病にかかり危篤状態となった。
譜代の家士が尹松のそばにあって、
「戦場にて討ち死にを遂げ、
最期まで功名を顕されるであろうと思っていたのに、
このように畳の上でお亡くなりになろうとするとは思いもかけぬことです。」
と涙を流しながら言ったところ、
尹松はかっと目を見開き、その家士を睨んでこう言った。
「なんとお前は侍の道を知らぬ愚か者なのだ。
我は若年より数度の戦いに挑み、多くの城を破り、敵を数多討ち取った。
そのうえで、今静かに死ぬことこそ、『討ち死に』と言うべきである。
お前たちが言うところの死にざまは、『討たれ死に』とでも言うべきだ。」
尹松は、この月の5日息を引き取った。
享年82歳。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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