『今川家の赤薬』と言えば、世の中では急病に用いた場合、
効能の在る薬だと言われている。
この薬はそもそも、足利将軍光源院(足利義輝)の馬が患った時、
乞食斎の僧が三条河原で、この馬を見て、
「たやすく治せる病なのに。」
と言っているのを、義輝が聞いて治療を望んだ所、
乞食が薬を用いると、たちまち患いは癒えた。
この時、義輝は一宮随巴という弓の師に言って、その薬法を学ばせ書き留めさせた。
そののち義輝が、永禄の変で斃れると、一宮随巴は駿河に下った。
駿河において、今川氏真は薬法などを面白がる人であったので、
一宮は氏真にこれを教え、
そうして今川家の薬として、世に広まったのである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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