天正十八年(1590)、秀吉の小田原攻めの折の事。
ある夜、北条軍と豊臣軍との間に、鉄砲の撃ち比べが起こった。
両軍、激しく鉄砲を打ち合い、その轟音は天地を震倒させ、黒煙は天を覆った。
北条氏直が、この様子を高櫓に登って見下ろすと、
鉄砲が発射されるときの火の光が、
まるで満天の星のように、限りなく台地を覆っていた。
この、浮世離れした情景に氏直は、
「地にくだる 星か濠への蛍かと みるや我うつ鉄炮の火を」
と、詠んだと言う。
その夜の有様は、人の目を驚かせる事、前代未聞の事であった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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