上杉景勝卿が、ある年、江戸より米沢へ帰城された時、
水原常陸介を始めその他大身の輩が皆迎えに出た。
景勝卿はそれぞれに詞をかけ、常陸介の居た所を二、三十間過ぎた時、
常陸介が忽ちに頓死した。(意識不明になったということだろう)
人々は薬を与えて呼び返したがその甲斐もなく。
景勝卿も早く帰って保養するよう下知したのだが、遂に死んだ。
この知らせに景勝卿は涙を流し、
「前夜の夢の中に、不識院殿(上杉謙信)が枕にお立ちに成り、
『水原常陸介を此の方に給われ。』
と宣われた。
夢覚めて近習の者達に此の事を語り聞かせ、
常陸が死すべき兆を夢に見たと言ったのだが、
その如く只今相果ててしまった。」
と、甚だ惜しまれたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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