大坂冬の陣の後、徳川家康は次の戦に備えて、
一部の家臣たちと極秘に相談した。
大坂方に情報が漏れないためである。
しかし、この密談の内容を知った男が唯一人だけいた。
安藤直次である。
持病がでた直次が休んでいると、
次の部屋で密談が始まってしまったのだ。
直次は、その内容を全部聞いてしまった。
そこで間もなくおこるであろう合戦に備えることにした。
やがて陣触れの命が下された時、
ほとんどの家臣が慌てたのだが、
既に準備していた直次は、真っ先に駆けつけることができた。
家康は大変満足した。
家康、「さすが直次、危急の際の心得ができておるな。」
家康は直次が早く来た理由を勘違いしていた。すると直次は、
直次、
「上様、これからは戸障子を外して、
遠くからでもわかるような場所でご密談していただけないでしょうか。
実は、かくかくしかじかでして此度のことは存じておりました。
あの場で申し上げることもできたのですが、
それではご密談の意味がありませんので、私の胸だけに収め、
私の家臣にも気取られるぬようにして準備しておりました。」
と本当のことを話したのだった。
わざわざ正直に話した直次の心に、家康は感激したという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!