大坂冬の陣終了後、和睦の条件として、大坂城の二の丸・三の丸の破却を豊臣家が、
惣構・惣掘(城の外周部分)の破却を徳川家が行うことになり、
普請奉行として徳川家からは、
本多上野介正純・安藤帯刀直次・成瀬隼人正正成が選ばれた。
三奉行は突貫工事で惣構を破却すると、自分たちの持ち分ではない、
二の丸・三の丸までも壊し始めたばかりか、堀まで埋め立て完全な更地へと代え出した。
持ち分を形式的な破却で済ませようとしていた城方は驚き、
淀殿の侍女のお玉という者を派遣して、三奉行を詰問することにした。
安藤直次は、お玉が話しかけても一言も答えようとしなかった。
本多正純は、
「ごもっとも。物頭どもが聞き間違えたのでしょう、止めさせます。」
と、答えた。
しかし、翌日になっても堀の埋め立ては止まらず、
お玉が改めて抗議すると正純は、
「推参者め!」
と、物頭たちを叱りはしたが、結局工事は続けられた。
成瀬正成に至っては、お玉の抗議を聞くと、
「は?"総"堀とは全部の堀のことではないか。何も間違っておらんわい。」
とムチャな抗弁を返したあげく、なおも抗議するお玉に、
「そなたは女の身ながら口が達者だの。」
「良く見れば、いい女ではないか!」
などと言いながらお玉のケツを撫で回した。
「・・・!」
たまりかねたお玉は黙り込んでしまい、その間にも埋め立ては続けられ、
とうとう大坂城は、本丸だけの裸城になってしまった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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