二度も許して☆ | げむおた街道をゆく

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徳川家康は、己の命に逆らった安藤直次の罪を不問に付したが、

直次が退出した時、同席していた土井利勝にふと洩らした。
「帯刀め、腹を切るべきところを、二度も許してやったものを・・・。」

「・・・と言っておられたが、貴殿ほどのお人が、

本当にそんなヘマを仕出かした事があるのですか?」
利勝は、直次に直接問い質した。

 

少し考えて、直次は答えた。
 

「うむ、ある。
実は、わしは昔、大御所様の寵童だった井伊万千代(直政)と、

人目を忍んでねんごろになった時期があってのう。
その時、二度ほど万千代のもとに来た大御所様と出くわしそうになったが、

一度は衣装行李に隠れてやり過ごした。
二度目は、二人で和やかに語り合っておった時、戸口の向こうで大御所様の声がした。
とっさに万千代が開きかけた戸を押さえ、

『き、今日は事情あってお相手できませぬ!』

と叫んだところ、大御所様は、
『いつにない、険しい顔をするわい・・・。』

などと言いながら帰って行かれたが、

今にして思えば、両方ともバレていたのであろうな。」

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 紀州藩附家老、安藤直次

 

 

 

ごきげんよう!