徳川頼宣の側近・蘆川十休が、遠山某を推挙した。
十休、「遠山は才覚のある男です。何をやらせても難なくこなすでしょう。」
頼宣、「・・・。」
しかし、頼宣は十休を無視する。
十休は、話を聞いてほしいので、同じことを三回述べた。
すると頼宣は、口を開いて、
「お前以外の奴も皆遠山を褒めているよ。
だがな、全員が褒める人間と全員が悪く言う人間は、
十中八九あなどれない悪党なのだ。
考えてもみろ。
釈迦や孔子のように後世にまで伝わる聖人でさえ、
誰かに悪く言われていたのだ。
全員が褒める者とは忠義の欠片もなく、軽薄か媚びへつらいのうまい人間さ。
褒める者とそしる者の両方がいる人間こそよいのだ。
だからこそ、全員が褒めるからよい人間だ、とか、
悪く言う者がいるから悪い人間だ、などと安直に考えてはいけないのだよ。」
と、述べたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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