あのように、物が言える家老が☆ | げむおた街道をゆく

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江戸において、尾張家・徳川義直が、

紀州の徳川頼宣の屋敷にフラリと遊びに来た事があった。
 

ところがその時はたまたま、頼宣が髪結いをしている最中だったので、

義直には少し待ってもらうこととなった。

しかし義直の方は、
「いや、この辺に来たついでにたまたま寄っただけだから、

特に用があるわけじゃないし、
変わりは無いようなので、このまま帰るよ。」
と言い出した。

そこで紀伊家家老・安藤帯刀は、義直に、

「もう少しだけお待ちください。」

と言い、髪を結っている頼宣の下へ行き、このように言上した。

「義直様は帰ると言っているのを、もう少しだけと待っていただいています。
こんなに待たせちゃっていいんですか?

殿と親しくしてくれる方なんて、義直様だけですよ!」

それを聞いた頼宣は髪結いを早々に仕舞いにし、義直と面会した。

義直が帰った後、頼宣は髪を梳いていた者にこう言った。
「帯刀が遅いと叱った時、私が落涙するのを、その方見たか?」

「はい、鏡に映ったのを見ました。

いくら尾張様の事とはいえ、帯刀様のあまりにきつい物言いと、
私も内心憤りました。」

ところが頼宣は、
「そのように推量すると思ったから聞いたのだ。
さっき帯刀が申したような事は、

あの者の他誰も、私に言う者はいないであろう。
あのように物が言える家老が付いている事をありがたく思い、

それで落涙したのだ。」

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 南龍公、徳川頼宣

 

 

 

ごきげんよう!