やあ、十兵衛のタワケが☆ | げむおた街道をゆく

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信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

ある時のこと、南龍公・徳川頼宣が、岩手川にて川狩りを行い、

鮎を炙らせ酒樽を開くなど大いに興じていたが、

若者たちに泳がせれば一段の興があると、
「水泳せよ。」

と命じた。

そうでなくても泳ぎたいと思っていた若侍達は一斉に川に入り、

様々に手練を尽くして泳いでいた中に、佐渡与助というものがあった。

しかしこの佐渡与助、水泳不調法にて沈むこと度々であった。
ちょうど水野十兵衛という侍が、小舟に乗って近くに在ったが、

これを見て声をかけた。

「与助よ! 叶わずば船に取り付け!」

この時、頼宣は河原に床机を立てていたのであるが、

この十兵衛の言葉を聞いて、
大音声で怒鳴った!

「やあ、十兵衛のタワケが!

士(サムライ)に対して、

『叶わずば船に取り付け。』

などと言う者があるか!

そんな言われ方をすれば、士たる者、死んでも船に取り付くものか!
たわけた事を言って、惜しき侍一人を殺すな!

同じ意味であってもそう言う時には、

『与助、船に取り付いて休め。』

と言えば、
与助も船に取り付くことが出来るものだ。

この十兵衛の大たわけめ!」

そう、叱りつけたという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 南龍公、徳川頼宣

 

 

 

ごきげんよう!