紀伊は山国であり、深山には色々と怪しい事ども多かったが、
徳川頼宣はまるで気にしていなかった。
ある時、友島に猟に出かけ、臥木(倒れている木)に腰を掛けると、
その臥木にわかに動き出し、龍の形となった。
しかし頼宣は少しも驚かず、志津の長刀をその蛇頭と思わしきところに差し当て、
「山神であるのなら、どうして腰掛けただろうか!
臥木の姿であったからこそ、臥木であると思ったのだ。
なんと見苦しき振る舞いだろうか!
動いて見給え、忽ち刺し申すぞ!」
そう怒って叫ぶと、本の臥木へ戻ったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
→ 南龍公、徳川頼宣
ごきげんよう!