公金の輸送☆ | げむおた街道をゆく

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本多美濃守忠政が、伊勢桑名城に在った時、

幕府の公金の輸送があり、その荷物が桑名城下を通り、
今晩は城下に宿泊するという事になった。

 

この時、忠政は指図して、
「御金の荷物を城下の宿舎に一夜置くというのは不用心です。城内に入れ置くように。」
と、一行に伝えた。

 

金奉行始めこの一行は提案を大いに喜び、

「今晩こそ安堵して眠れる!」

と早速城内に持ち込み、奉行、差添えの者達は城下の宿舎に戻って睡眠をとった。

さて翌日、奉行たちが御金を受け取りに城内に行くと、忠政が出てきて金奉行に言った。
「我ら近年不勝手に相成っていた所、幸いにも御金が来ました。

よって昨夜の金は、そのまま我らが拝借仕る。

もっとも、お手前の不調法にならぬように、

今朝江戸表にこの事を知らせる使者を立てました。」

金奉行および差添えの者達は大いに驚いたが、忠政は大名であり、

金奉行は小身者であるので、
さすがに口論も出来ず、その旨を京都所司代の板倉周防守(重宗)に申し立てた。

 

これより江戸表にお伺いを立てた所、これを聞いた将軍・秀忠は笑い出した。
「美濃守が城下の旅館では不用心と、城内に入れさせたのは計略である。

金奉行の者が尤もと心得て城内に持ち込んだのは、計略に陥ってしまったものである。
美濃守は一旦城内に入れた金子を再び出すような性格ではない。

まあいい、貸して遣わせ。」

こうしてこの件は決着した。

以後、桑名城下は公金の輸送が決して通過しなくなったそうである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 西国の押さえ、本多忠政

 

 

 

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