稲垣掃部の出奔☆ | げむおた街道をゆく

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稲垣掃部は本多美濃守忠政の士である。

忠政に怨みあって、白昼姫路を出奔し、船に乗って下った。
彼は以下の狂歌を書いて、その座敷の床の中程に張り付けた。

「破笠頸にかけてはこじくとも天下にてみのは頼まじ」
(たとえ破笠をかけて乞食になろうとも、天下において忠政を頼りにするつもりはない)

忠政は大いに怒って稲垣を追わせた。

 

追手の士が坂越で稲垣の船を見て言葉をかけたところ、
稲垣は近くで相手になり、半弓を射て二士を殺し、逃れて赤穂の商家に入った。
忠政の士十人ばかりは、その家を囲んだが、一向に家へ入らず時を移した。

そこは池田輝興の城下なので、

その家士である木梨清右衛門と澤市郎右衛門は、

この有り様を見て戸を押し破り、ただちに家へ入った。

木梨は澤に先立ち、稲垣は引き絞った半弓を木梨に射る。
矢は木梨のまん中に当たり、彼は倒れた。

稲垣は二の矢をつがえて、今度は澤を射た。

矢は澤の左腕から片腹をかけて貫いた。
澤は射られながらも、たたみかけて稲垣を斬り殺した。

木梨はすぐその場で気絶して、
また蘇生したものの、最後には傷を病んで死んだ。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 西国の押さえ、本多忠政

 

 

 

ごきげんよう!