使いの不首尾☆ | げむおた街道をゆく

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土井大炊頭利勝殿へ、蒲生下野守殿(忠郷)より子細あって、

安達内匠という者が使いに遣わされた。

 

大炊頭殿がお会いになって用事を申されたところ、

内匠は暫く黙して手を突いていたので、大炊頭殿は、

「腹痛などではないだろうか。」
と案じなさった。

 

すると、内匠は、

「口上を忘却いたしましので、恐れ入りますが、
御次の間で思案いたして申し上げたいのです。」

との旨を述べたため、

大炊頭殿は、

「それならばゆるゆると思案しなさい。」

と申された。

 

やや暫くして、
内匠は御目にかかり、口上の首尾を案じ出して申し上げたということである。

大炊頭殿は、

「人多しといえども内匠の如き使いはおるまい。

ひたすら当座の首尾に合わせてしまって、忘れたことも押し隠すものである。

嘘偽りの無いことだ。」

と、甚だ感心なさり、

下野侯に、

「褒美なさいませ。」

と申されたということである。

 

大炊頭殿の寛仁により、
使いの不首尾もよく取り成して申されたことは、有り難きことである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 公正さを重んじる、土井利勝

 

 

 

ごきげんよう!