徳川家康は、ある者を役職につけようと考えて、
その人柄を若き日の土井利勝にたずねた。
「その者は私をあまり訪ねて来ませんので、人柄をよく存じません。」
利勝がそう答えたことは、家康を怒らせた。
「お前のところに出入りする奴ばかり役職につけたら、
おべっかばかりになって、
家中に無能しかいなくなるじゃあないか。
お前のところに出入りしない者や、お前に対して不遜な奴でも有能な者を見抜いて推薦し、
出入りしている者であっても軽薄者は退けるよう、
わしに進言するのが、お前の役目なんだぞ。」
利勝はこの言葉を胸にして家康の補佐役として成長した。
その成長ぶりを見て家康は、
「利勝は同じ誤りを繰り返さず、真心を持って使える人物だ。」
と言った。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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