大津の代官である小野半之助が、酒井讃岐守忠勝に申し上げた。
「勢多は海道往来の橋であり、殊に古代よりの名橋でありますが、
現在では殊の外古く、見苦しくなっております。
ここ2,3年のうちに架け変えられるべきであると考えます。」
忠勝はこれを聞くと、
「その橋が破損して、往来の人々が怪我や事故の危険があるのなら、
どうして2,3年など待とうか、早速に架け直すべきである。
しかし修復によって持ち怺えられるのならば、修復で済ませるべきだ。
総じて橋というものは、
『御代静謐久しく、この橋は何代にわたって伝わっている。』
などと言われるものであってこそ、兵乱の無い、天下静謐の印となる。
古びて見苦しいからと言って、改め造るべきではない。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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