家光の夜行☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

徳川家光が壮年の頃、

たびたび寵愛する酒井重澄の屋敷へと夜行したことがあった。

ある寒い夜のことである。
骨身にしみる寒さの中、重澄の屋敷から帰ろうとした家光は、

履物が暖かい事に気が付いた。
不審に主ながらその夜はそのまま城へ戻ったが、その後も履物が暖められる事は続き、
さては山城守の殊勝さよ、と尋ねるたところ、

「履物までは、心づき申さず恐れ入る。」

と返された。
 

では履物を暖めているのは誰なのか?

それ以来、家光も気を配るようになり、ついに誰であるかが判明した。

それはなんと家光の守り役・酒井忠勝だったのである。
寵愛のあまりの夜行を知った忠勝は、家光の身を案じてひそかに供をしていたのだ。
目立たぬように尾行し、重澄の屋敷に入るのを見届けてからは近所に身を潜め、

帰りもまた尾行する。
そして凍えそうな寒さの夜には、家光の履物を懐に入れて暖め、戻しておく。

それを繰り返していたのだ。

真実を知った家光は忠勝を召し出し、

「この頃のことは、なんとも申しようがない。」

と言った。
 

忠勝は、

「今大切なる御身としては夜行などなさるのは以ての外、

かようなことを近習の者が1人でも知れば大事ゆえ、

人は多くとも頼みにできる者なく、数は少なくとも警護致しました。
それにしても軽々しいことです。」

と諌めた。

これを聞いた家光は感動のあまり落涙し、その後、夜行することはなくなった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 名臣第一、酒井忠勝

 

 

 

ごきげんよう!