家光は、夜歩きが好きだった。
まだ江戸時代初期は、将軍家の人間でも、ひょいひょいと外出出来たのだ。
その家光を、青山忠俊が、諫言した。
「拙者をお手討ちにしてから、夜歩きなさいませ。」
他にも、家光が、金魚を愛でていたのを、
青山、
「武士にあるまじきことにござる! こんなもの!」
と、放り投げたりしたそうで、時には、手が出る、足が出るような教育でもあった。
あまりに諫言をするもんだから、家光は将軍になって、
最初の命令が何と、青山家の改易。
こうして、坊ちゃん育ちの家光は、邪魔者がいなくなったと思ったが、
自分が将軍をやってみると、青山の教育が正しい事に気が付いた。
さすがにやりすぎた。
青山には悪い事をしたから元の通り、再出仕してもらおうと、
命令を出したものの、今度は青山が命令を拒否した。
曰く、
「再出仕の命令を受ければ、将軍が以前の処分が間違っていたと世に知らしめる事になる。
それでは、上様は、下のものに示しがつかない。」
その後、何と死ぬまで復職をしなかった。
そこで家光は、息子を出仕させる事で、
青山家の名誉を回復したという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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