彦左衛門は、3尺6寸もある長い刀をいつも差しており、
江戸城でもお構いなしにそのまま歩き回ったものだから、
刀の先が周りの人に良くぶつかり、みんな大迷惑だった。
そこである同僚が、彦左衛門に忠告。
「あなたの刀は長すぎて、みんなの立ち振る舞いの邪魔になる。
短くしてもらえないだろうか。」
彦左衛門、
「よろしうござる。」
とあっさりうなずいた。
ところが翌日登城した彦左衛門の格好にみんなびっくり。
鞘こそ6寸ほど短くなっていたが、刀の長さはそのままで、
刀の先がむき出しになっていたものだから、
彦左衛門が動くたび、周りの人の服や畳が切れ、物騒でしょうがない。
困った同僚が、なぜそんなこしらえにしたのか尋ねたところ、
彦左衛門、
「昨日のあなたの忠告を受け、短い刀にしようと思ったが、
わしは小身者なので新しく刀を買うことができぬ。
そこでこの刀を短くしようとし、鞘は切ることができた。
しかし刀身は鋼のため、
わしにはどうしようもなかったのじゃ。」
同僚たちも頭を抱え、藪をつついて蛇が出たと嘆きあった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく
ごきげんよう!