士卒の躁乱を鎮める☆ | げむおた街道をゆく

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徳川家康が、武田勝頼と対峙して、遠州大井川下伊呂に滞陣していた時のこと。

2,3日、雨が降り続いたために、大井川が増水し、夜になって川岸が崩れ始めた。
俗に「蛇崩れ」と呼ばれる現象であるが、

闇夜で根耳にこれを聞いた徳川勢は、大騒ぎになった。
 

武田軍の夜襲と勘違いした先手が騒ぎ始め、やがて士卒や旗本にまで伝わっていく。
旗本たちは武田の夜襲で先手が崩れたものと考え、
それを受けた家康も牧野半右衛門を伝令とし、

「全軍、一騎掛けで、浜松に撤退せよ。」

と下知した。
 

これにより徳川勢は、ますます混乱に陥り、まったく収拾がつかなくなった。

この時、大久保忠世は、まず旗本に大提燈を掲げさせると、
信頼のできる部下を付き添わせて、

「わしが戻るまで、けっして離れるな。」

と言い含めた。
 

次に先手に馳せ付けると、
「すでに旗本を持って、敵の第二陣を討とうと、既に備えを立ち固めたぞ。
あの大提燈が動かぬのを見よ。

あれが、なによりの証拠じゃ。
うっかり卑怯未練な真似をして、旗本に笑われぬようにせよ。

あとで面目が立たんぞ。」
と大音声に触れまわったので、

全軍が次第に備えを立て直し、やがて騒ぎも収まった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 良き膏薬が如し、大久保忠世

 

 

 

ごきげんよう!