はこべの御汁☆ | げむおた街道をゆく

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加賀藩の御料理人である長谷川徳左衛門は、

先年、京に向かう前田利常に従い東海道を下っていたが、
関ヶ原宿に泊まるその日の道中、道端ではこべが見事に成っているのを見つけ、

これを乗っていた馬に挟み進んだ。

さて、関ヶ原宿に着くと、そこにはろくな食材がなかったため、

長谷川は焼いた干鱈に先に摘み取った、
はこべを加え入れて、汁を作り利常に差し上げた所、

これを大変気に入られ、度々お替りをして召し上がった。
 

そして長谷川を御前に召し、

「殊の外よき汁であった。どうしてこのような料理を思いついたのか?」

と聞いた所、長谷川は、

「私が先行して進んでいた所、道際に見事なはこべを見つけました。

関ヶ原宿には多分良い食材は無いだろうと思ったので、

このはこべを取り乗り掛けの馬に付けて、こちらに到着した所、
案の定良い食材はありません。ですので先の御汁にしたのです。」

そう申し上げると、利常は感心し、

「自分の役儀をよく心得ており、大変奇特である。」

と言って御箪笥の中から金子を、包のまま下された。
その包の中には金子が、一歩五十八切(一歩金は小判の4分の1)も入っていた。

後で長谷川徳左衛門は、

「御汁一つ料理して、たいへんな金子を貰ったよ。」

と大いに自慢していたそうである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ 底の知れぬ人、前田利常

 

 

 

ごきげんよう!