吝い殿様☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

ある時、神保長八や、我が祖父である脇谷九兵衛といった、

前田利常と心安き者達が、
御前に寄り合い、歓談していたことが在った。

この時、利常公がお尋ねになった。

「下々はきっと私のことを、吝い殿様だと言っているだろう。」

座の人々は、

「いいえ、そのような事は聞いたことがありません。

ただ、『御物綺羅し』とは、呼ばれています。」

御物綺羅しとは、綺羅びやかな御物を取り揃えているといういみであろうか。
 

しかし利常公は強く否定した。

「いや、そのように言うはずがない!」

これには御前の人々も意地になって、誓言まで立てて同じことを申し上げる。
 

しかし利常公は、
「いいや、そんな事が有るはずがないのだ。

私は歳を取って、殊の外吝くなったことを自覚しているのだ。
昔と違って、加増や、その他褒美を取らせるときも、

2度も3度も思案してしまうのだ。
昔は思い立ったらすぐさま、そのまま遣わしたというのに…。」

これは神保八左衛門の話に伺ったことである。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ 底の知れぬ人、前田利常

 

 

 

ごきげんよう!