南部利直が江戸に向かう際、花巻市鍛治町の宿に立ち寄り、食事を所望した。
「殿様がお食事ご所望だじゃ。」
「なら蕎麦出すべ。」
「んだども、お口に合わねがったら失礼になんねべか?」
「あー…んだば少しずづ出して様子見んべ。」
家人は漆塗りの椀に一口大に蕎麦を盛りつけ、利直に出した。
「美味い!」
利直は蕎麦を大変気に入り、何度もお代わりをした。
以来、蕎麦を小分けして振舞うことを、
わんこそばと呼ぶようになったという。
ちなみに当時は今のような大食いの形ではなく、
ゆっくり味わって食べるのが普通だったそうな。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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