最上義光が、最上八盾の天童頼澄が守る天童城(舞鶴城)を攻めた時の事である。
最上勢、千手堂という場所で天童勢を大いに破ると、
その勢いのまま天童城に攻め寄せた。
この時、延沢満延は最上八盾の一人として天童城に援兵として入っており、
場内から最上方の攻勢を見ると大手の門を押し開き、ただ一騎討って出た。
満延は、5尺1寸(約1.5メートル)の鉄の棒を打ち振るい、
向かってくる最上勢をばったばったとなぎ倒した。
これには最上勢、延沢満延の方を見ることも出来ない有様だった。
さて、最上勢の中に安間某という、長く羽黒山に住む弓の名手がいた。
彼は味方が、延沢満延一人を恐れている様子を見て、
「いくら能登守(延沢満延)と言っても鬼神ではない。よし、俺が勝負をしてやろう!」
と一直線に駆け寄った。
これを見た延沢満延、
「わしとの勝負を望むとは、なんと面白い振る舞いかな。
ならば我が手並み、見せてやろう!」
と、安間某に向かって突進した!
「この鉄棒を所望のようだな。さあ、一打取らせようぞ!」
安間某が弓をつがえた、その時、
延沢満延、信じられないスピードで拝み打ちに鉄棒を、安間某の頭上に振り下ろす!
そのあまりの衝撃に、安間某の頭は胴の中にめりこみ、
乗っている馬も衝撃に足が地面に埋まった。
最上勢は皆、驚き呆れ返り、われ先にと引き退いたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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