科人の討ち取りを命ぜられ☆ | げむおた街道をゆく

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塙団右衛門が、加藤嘉明に仕えていた頃の話である。

ある時一人の科人が出て、藪與左衛門、塙団右衛門の両名に、

これを討ち取る事が命ぜられた。
 

二人は籤を引き、與左衛門が一の太刀、団右衛門が二の太刀を受け持つ事となった。

さて、その科人の家に着くと、與左衛門が討ち取る次第の言葉をかけ、これに斬り懸かる。
かの者もたちどころに刀を抜き、これと斬り合う。

激しい鍔迫り合いとなった。
…が、団右衛門の二の太刀が、いつまでたってもこない。
與左衛門、どうしたことかと振向くと…。

焚き火に当たっていた。
 

その日は寒気非常に強い日であり、団右衛門は二人の戦いを気にもせず、
暖を取っていたのだ。

「何やってんだお前!?」

與左衛門怒る。まあそりゃそうであろう。こっちは命のやり取りをしているのだ。
 

しかし団右衛門、よほど寒いのか火の前から動こうとしない。
『こんな奴は当てに出来ない!』
與左衛門、どうにか一人で科人を切り伏せ、これに止めを刺したそうである。

この事の終始、検使のものが報告したのだが…。

なんと、焚き火に当たっていただけの団右衛門、科人を斃した與左衛門と同じ、
白銀10枚を褒美として与えられた。
 

その理由は、
「同僚が戦っている最中、平然と火に当たっていたのがなんか凄いから。」
だそうだ。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

こちらもよろしく

→ 言い触らし団右衛門、塙直之

 

 

 

ごきげんよう!