寒川元政を、攻めた時のこと☆ | げむおた街道をゆく

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十河一存が、讃岐国池内城の寒川元政を攻めた時のこと。
 

ある日、一存は、近習の鴨部源次が、落ち着かない様子でいるのに気づいた。

「そうか…お前の兄は、寒川の家臣だったな。かつての主君や家族に弓は引けまい。
よし、ここで暇乞いをくれてやる。兄と馬を並べて戦場に立て。」
 

「お言葉ですが殿、私は二心など持っておりません。疑われるのは心外にござる!」
 

「お前の忠義は知っておる。が、あえて言う。実家に戻り遠慮なく、わしに掛かって参れ。」

感激した源次は、

「一存様に太刀打ちするは、必ずや我ら兄弟なり。」

と誓いを立て、
一存もこれを喜んで、別れの盃を与えて名残を惜しみつつ、源次を去らせた。

数日後、果たして源次とその兄・神内左衛門が士卒五十人ばかりを従え、

一存の本隊へ真一文字に襲い掛かり、左衛門の槍が一存の左腕を貫いた。
「殿!」
家臣団の悲痛な叫びもどこへやら、一存は太刀で左衛門の槍を切り折り、

返す刀で左衛門を討ち果たした。
 

鴨部源次は三人を切り倒し、七、八人に手傷を負わせる活躍を見せ、討ち死にした。

一存は普段と変わらぬ挙動で帰陣した。
「はて、深手を負われたと聞いたが、ご無事だったようだな。」
家臣たちは胸を撫で下ろしたが、しばらく後、一存と湯治に行った家臣は仰天した。
 

一存の左腕に、生々しく槍の傷跡が残っていたからだ。
「と、殿!その傷はいったい……。」
「ああ、これか? 戦の最中に騒ぐわけにもいかんので、

塩をすり込んで消毒し、藤ヅルを巻いて血止めしておいたのよ。」

敵に優位を与え、重傷に平然とする豪胆さに、

人は彼を「鬼十河」と呼ぶようになった。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 大敵を挫くべき勇将、十河一存

 

 

 

ごきげんよう!