ある人が甲州を訪れ、国中を見て廻ったところ、
片田舎とは思えないほど立派な家や、住民の富んだ様子を見てとった。
「これは一体どうしたことだ。何故このように豊かなのだ。」
と地元の人に問うと、
「このあたりは土地が悪く、昔は雑穀さえ実らないほどの有様でしたが、
浅野弾正少弼殿(長政)が当国を治められた時、
『この地は耕作を止め、栗の実を育てて林にすれば利益が出る。』
と仰せられ、
その通りにしたところ、やがて樹林となりました。
そうして栗の実を食用に、木を材木として江戸に送るようになり、
今ではこんなに豊かになりました。
まことに弾正殿はすばらしい仁者です。」
とのことだった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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