佐々成政の側室に、早百合と言う美女があり、成政の寵愛を受けていた。
さて、成政は対秀吉の交渉の為、富山から駿河の徳川家康の許に向かう。
有名な「さらさら越え」である。
この時に成政の小姓の一人、竹沢は病を得ていたため、この一行に加わらなかった。
やがて交渉は失敗し、成政は空しく富山に帰った。
帰国草々の成政に、さらに不快な噂が耳に入った。
「早百合は懐妊している。その父親は竹沢である。」
先の交渉の失敗もあり、気が立っていたのか、
成政は竹沢を呼び出すと、たちまち斬り殺した。
そしてその足で早百合の部屋に駆け込み、早百合の髪を逆手に持って宙に引き上げ、
首と胴を切り離し、その首は神通川の柳の枝に結んでぶら下げた。
早百合懐妊の事は、彼女が寵愛されているのを妬んだ、他の側室達の謀であったそうだ。
この後、神通川では、夜な夜な火の玉が現われた。
富山の人たちはそれを、無実で殺された早百合の亡魂であるとし、
「早百合火」「ぶらり火」と呼んで、恐れたと言うことである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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