謙信の武勇など、いか計りの☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

佐々陸奥守成政が、越中の守護職であった時、彼は越中外山に在城していた。

何保という所に、菊池入道と号す者があり、

彼は元は長尾(上杉)に属し、現在は佐々に随心して、

我が子を成政の傍に使わし、常に外山に出仕して、越中の昔のことなどを物語した。

ある時、酒宴たけなわで成政も興に乗じている時分、

常にもてはやしていたナマズの盃を取り出し、これに酒をつがせ飲むと、

次に菊池入道へさした。

 

入道三度これをかたむけ成政へ返し、腰に挿していた脇差、

これは波平であったが、それを捧げ、

「慮外ながら献上仕る。これはかつて長尾(上杉)謙信より受納した物ですが、

どうか謙信にあやかり給うように。」

そう言ったところ、成政は大いに怒った。

「何事をあやかるというのだ! 謙信の武勇など、いか計りの事があるというのか!」

入道を怒鳴りつけ、脇差を投げ捨てた。

 

入道はこれに、
「武勇のことではありません。謙信は九ヶ国の管領でありました。

ですので、果報いみじくましますように、との事です。
この入道も老耄して、酒興故にこのような事をしました。

この脇差はどうぞ御小姓衆へ。」

と、酌に立った小姓に遣わした。

 

これを見て成政も機嫌が直り、

「小姓どもへのあやかり物としては丁度いい。」

と言って笑った。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

こちらもよろしく

→ さらさら越え、佐々成政

 

 

 

ごきげんよう!